要介護5の義母を在宅介護で看て15年目。
介護環境が整ってからは、義母は入院騒動もなくずっと安定していた。
もちろん軽い風邪などはあるが悪化などはせず数日で治っていた。
穏やかな日々を送っていたのに、ある日突然事件が起きた。
左腕の流血事件!
ある日の朝に事件は突然起きた。
夜勤ヘルパーからの突然の電話で実娘の妻が起こされた。
わが家では義母の部屋が1階で、われわれ夫婦は2階にいるのでヘルパーが入っている時に何かあれば電話を入れるように頼んである。
「大変なんです!今すぐ降りてきてもらえますか!!」
という第一声で起こされた妻は、その声を聞いて
(カニューレか腸瘻を抜いてしまったか!?)
と思ったらしい。
僕はもう出社して自宅にはいなかったので全て妻から聞いた話になってしまうが、そう思った妻は階段を降りていき義母の部屋をあけたらなんと!!
義母の左腕が流血!!
10cmぐらいにわたり、腕の皮が剥がれて流血していたのだ。
その後急いで看護師さんに電話をして指示通りに応急処置をした。
わが家で1番長いヘルパーさんが・・
今回のこの事件を起こしたのは、わが家で1番長く入ってくれている夜勤のヘルパーさん。
もう7年目になる。
だからわが家の介護に関するケアは全て知っているし、義母を1番よく知っているヘルパー。
でもこれが初めてではない。
なんと2回目。
1回目はここまで流血はしなかったが、内出血をするまでのアザをつくられた。
1番長いヘルパーさんが1度だけならともかく2度も。
呆れるばかりである。
なんでそうなる!?よく分からない事件内容
でも何でそんな腕の皮が剥がれるほどのことになってしまったのか。
話を聞いてもいまだによく理解できないのだが、こういう内容だった。
夜中から朝にかけて体交(体位交換)をお願いしているのだが、その際に義母の身体を横向きにしてキッチンで洗い物をして戻ったら、義母の上半身がベッドの下に逆さにずり落ちていたというのだ。
はぁ〜?どういうこと!?
それも下半身はベッドに残っていたとのこと。
ますます状況が想像できない。
それで慌ててベットに戻そうとして左腕を思い切り掴んだのが原因で、義母の左腕の皮を剥がしてしまったのだ。
寝たきりの高齢者の肌は弱くなっている。
それもさんざん各スタッフには注意を促しているのにこの始末。
しかしどんな状況だったんだ??
原因は「ベテランという自信」と「ガサツさ」
原因はなんとなく掴めている。
それは『ベテランという自信』と『ガサツさ』だと思っている。
それぞれこんな理由から。
ベテランという自信
冒頭にも書いたが、わが家では1番長く入ってくれているヘルパーさん。
もちろんとてもいい人で責任感もあり熱心な人。
でも人間どうしても同じことを長くやっていると「慣れ」というものが生じ、初心の気持ちが薄れてくる。
多分予想だが、要介護5の義母がベッドから上半身が落ちていたのは、体交の時に身体を寄せなかったからだと思っている。
例えばベッドの中央に位置している義母を、左に傾ける時にはまず右側に義母を動かし、そこから傾ける。
そうすれば傾いた状態の義母は、ベッドの中央にいることになる。
その一番最初の中央にいる義母を右側に寄せる時に、スライドシート( ※注釈1) というものを背中に敷くと、女性1人でも簡単にベッドの上でスイスイ動かせる。
体交をやる時はこのスライドシートを使ってやることを教えているにも関わらず、このヘルパーはスライドシートを1度も使ったことがないと言っていたのだ。
多分ベッドの中央にいる義母をそのまま傾かせて、ベッドの左ギリギリのところで体交状態になっていて、ズリ落ちたのだと推測している。
ガサツさ
ガサツなところがあるのは以前から重々認識していた。
例えばよくわが家の備品を壊す。
- コップを割った
- 自動喀痰吸引器アモレ ( ※注釈2) の部品を壊した
- 薬をぶちまけた
等々。
完璧は無理だから多少は目をつぶるが、それでも他のヘルパーと比べると断トツで多い。
また扉の戸を閉める音やモノを置く時の音ががうるさいのだ。
今までに「もう少し静かに」と何度もお願いしてきて本人も注意していたようだが、それでも他のヘルパーと比べてかなりうるさかった。
これらのことはガサツさゆえの行動ではないかと思っている。
そんなガサツなところが義母の大怪我も引き起こしたと思えてやまない。
もう3度目はない!
今回で2度目の同じような事故。
義母の腕の皮は薄くなっているので、強く握らないように各スタッフに口うるさく言っているにも関わらず今回の2度目の事故。
それ以来しっかりとスライドシートを使うように徹底させた。
実の娘の妻がもう一度だけチャンスをあげると言ったので引き続き夜勤に入ってもらっているが、もう3度目はない。
注釈
※注釈1『スライドシート』
主に要介護者の背中に敷いて使用する。
抵抗が少なくなり移動が簡単にできる介護グッズ。
女性1人でも簡単にベッド上の寝たきりの要介護者を動かせるほど滑る。
※注釈2 『自動喀痰吸引器アモレSU1』
気管切開をしている人向けの自動喀痰吸引器。
気管切開のカニューレ部分と『アモレSU1』本体を繋げて自動喀痰吸引ができる。
要介護者、介護者、両者の負担を激減させてくれる優れもの。
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