腕の拘縮や麻痺のある要介護者の着替えは大変ですよね。
でも着せる服をしっかりと選ぶと、服の着脱がかなり楽になります。
また介護服は地味なものや高いものが多いですよね。
そこでこの記事では要介護5の在宅介護歴17年の経験から、わが家でのノウハウをご紹介したいと思います。
何を着せたらいいのか悩んでいる人の、少しでもヒントになれば幸いです。
腕の拘縮や麻痺のある要介護者の着替えは大変
健常者と違い、腕の拘縮や麻痺のある要介護者の着替えは大変です。
拘縮や麻痺があると
腕の拘縮や麻痺があると思うように動きません。
また無理に動かそうとすると要介護者も痛いし、場合によっては骨折などをさせてしまう恐れがあります。
動かせる範囲も狭く、気をつけなければならないことも多々あるので、着替え1つとってもかなりの重労働になります。
介護専門服はちょっと
介護専門服には、機能性の富んだものがたくさん販売されています。
腕や足の部分がホックやマジックテープで開閉するものがあるので、寝たきりの要介護者の服の着脱がかなり楽になります。
ただ問題点は高いものが多いということ。
経済的に余裕があれば購入した方がいいですが、服なので少しだけ購入するということにはなかなかいきません。
また介護専門服には、パジャマのような地味なものが多いのも特徴。
個人的にはちょっとっていう感じです。
着替えやすいものはないか何度も試行錯誤
わが家では介護専門服を購入するほどの余裕がなかったので、市販のもので色々と試行錯誤してきました。
過去の経歴とNGだった理由を載せておきます。
パジャマ
在宅介護を始めた頃は、パジャマからスタートしました。今考えると「寝たきりでずっと介護ベッドの上だからパジャマ」っていう単純な発想でした。
着替えは最悪でした。
生地は伸びないのでかなり服の着脱に苦労。
ひどいと無理やり生地を伸ばしてやっていたので、あっちこっち破けていました。
部屋着
パジャマの次にチャレンジしたのが部屋着。
少し大きめのサイズでゆとりを持たせ、生地が少しでも伸びるものを選びました。
・夏→上半身がTシャツ、下半身が生地の薄いスウェット
・冬→上半身がトレーナー、下半身は生地の厚いスウェット
でした。
浴衣
部屋着の次は浴衣にチャレンジ。
部屋着の時は頭や両足の着脱に力が必要だったので、そこを解消すべく浴衣という形状に目をつけました。
浴衣の着脱はかなり軽減されましたがこんな問題が。
理想のスタイル
これらの経験から理想のスタイルを発見。
パジャマ・部屋着・浴衣のNGポイントを全て解消するスタイルです。
このスタイルを発見してからは、十数年最期までこのスタイルで在宅介護をしてきました。
わが家の理想のスタイルの介護服
わが家の理想のスタイルの介護服はこんな感じです。
上半身と下半身をそれぞれ着脱しやすいポイントを入れた服に。
上半身はこちら
下半身はこちら
理想のスタイルのおすすめポイント
理想のスタイルのおすすめポイントは、このようなところにあります。
伸びる生地
腕の拘縮や麻痺がある要介護者に着せる服で、伸びる生地は大前提。
全く伸びない生地だと、着替えの時にかなり苦労します。
拘縮している部分があると動かせる範囲が狭いので、思うように腕を伸ばしたり曲げたりできません。
伸びない生地で着脱をするのにかなりの無理が生じてしまいます。
要介護者の腕を強引に動かしたりすると、最悪骨折や皮膚を傷つけたりしてしまう恐れがあります。
前開き
前開きの服も大事なポイントです。
前開きなら頭を通さずに服の着脱ができます。
服を片腕から通して背中側に持っていき、もう片方を通す。
寝たきり要介護者の、服の着脱の最も基本的なやり方です。
上半身と下半身を分ける
過去の浴衣を使用していた時の経験から、上半身と下半身は絶対に分けたほうがいいと実感しました。
浴衣のようにワンピースの服装だと、例えば「首元がちょっと汚れたから着替えさせたい」と思った時にも、丸々1枚を変えないといけません。
これはかなりの重労働。
上半身と下半身が別れた服装なら、汚れた方の服だけ変えればいいので最小の労力で済みます。
寝たきりなら下半身はこれ一択
寝たきりの要介護者なら、生活はほぼ介護ベッドの上。
介護のことを考えると、下半身は巻きスカートが断然おすすめ。
ズボンだと両足を通さなければならず、かなりの負担がかかります。
巻きスカートなら簡単に着脱できます。
また季節によって生地の厚さを変えれば問題もありません。
詳しい内容を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
理想のスタイルにしてからは服の着脱が格段に楽に
理想のスタイルにしてからは、わが家では数十年ずっと続けてきました。
寝たきりの要介護者の服の着脱は、かなりの負担になります。
2人でやるなら少しは軽減されますが、もし1人でやる状況になった時にはかなりの重労働。
気をつけるポイントも多い中での、服の着せ替えは容易ではありません。
この理想のスタイルにしてからは、「もうこれ以上の理想の形はないでしょ!」と思えるほどです。
また市販の服なので、経済的にもそんなに気にしなくてもよく何枚も揃えやすいのが気に入ってました。
要介護5の女性用に着せるおすすめの介護服
わが家では要介護5の義母を看ていたので女性ものの服になってしまいますが、どんなものを着せていたのかご紹介します。
上半身
上半身には婦人服を着せていました。
もちろん先程説明した条件がマッチするものです。
ベッドの上の生活がほとんどとはいえ、女性なので少しでも見た目がおしゃれなものがいいですよね。
また中に着せる下着も同様。
伸びる生地で前開きのもの。
下着は介護専門のものを買ったほうがいいと思います。
ただ1つだけ注意が。
閉める部分がホックタイプのものにしましょう。
マジックタイプのものは、洗濯を数回繰り返すと糸屑がついたり粘着力が落ちるので使える期間が短くなります。
下半身
下半身は巻きスカートの形で使用していました。
この形なら、オムツ交換時にも開くだけなので楽だし着脱時もかなり負担が軽減。
・春・秋は薄手の毛布生地
・夏はラップタオル
・冬は厚手の裏起毛の巻きスカート
を使用していました。
まとめ
腕の拘縮や麻痺がある要介護者に着せる服は、伸びる生地で前開きの形状は譲れません。
服の形状や素材によって、服の着脱の負担はかなり変わります。
1日数回する着替えだからこそ、しっかりとやりやすいものを選ぶのを強くおすすめします。
少しでも同じような介護をしている方の、ご参考になれば幸いです。
- 伸びる生地
- 前開き
- 上半身と下半身を分ける
- 寝たきりなら下半身は巻きスカート
- マジックテープよりホックタイプ
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